中小企業金融円滑化法終了後の債権管理と債権回収
弁護士 手打寛規
平成25年3月末日をもって中小企業金融円滑化法が終了致しました。平成25年4月以降の債権管理・債権回収について関心をお持ちの方も多いと思います。以下,簡単にポイントを整理させていただきます。
中小企業金融円滑化法終了に伴う,企業倒産の緩やかな増加は不可避です
近年の経済状況からすれば,企業の倒産件数は増加してもおかしくないのですが,中小企業円滑化法の施行により,平成21年以降,企業倒産件数は減少してきました。
中小企業金融円滑化法終了に伴い,企業倒産件数が一気に増加することも懸念されましたが,金融庁,経産省をはじめ各行政機関が施策を打ち出しておりますので,多くの方々が予測するとおり,企業倒産件数の急激な増加は避けられる一方で,今後,緩やかに増加することまでは避けられないというのが一般的な予測です。
緩やかな企業倒産増加に備えた,早めの対策が必須です
では,企業倒産件数の緩やかな増加に備えいかなる施策を取ることが必要でしょうか。まず,想像していただきたいのが,4月以降に倒産する企業が,どのような企業かということです。事業の持続可能性が見込まれないのに金融円滑化法により延命され続けた企業が多く含まれることは想像に難くないでしょう。そして,このような企業倒産に伴う債権回収が困難であることも容易に想像できます。そのため,事前の施策が必須です。
これまでの債権管理・債権回収が通用しない局面が想定される
→今後,特に注意をしなければならない事項とは?
当事務所にて推奨している相殺を活用した保全策を含め,今のうちから準備できる保全策はいくつかあります。債権保全策についてご相談が必要な場合はご相談ください。
→今後,特に注意をしなければならない事項とは?
上記に加え,『勘を取り戻す』ことにも注意が必要です。過去3,4年間の企業倒産件数の減少に伴い,企業が事故債権を扱うことも少なかったのではないでしょうか。人事異動の期間ともリンクしますので,債権管理・回収の担当者が過去の経験を踏まえた対応を取れる体制となっているか,また,鈍った勘を取り戻せているかは確認してください。仮に,鈍った勘を取り戻す必要があるなら,社内向け債権管理・回収セミナーを開催することが有益です。審査部,法務部など債権管理・回収を扱う部門が,今の時期から全社員向けに注意喚起のアラームを全社向けに発し続けることこそが,一番の保全策かもしれません。
当事務所でも,3月以降,中小企業金融円滑化終了に伴う各種セミナーを実施しておりますので,社内向けセミナーの必要があれば,是非ご相談下さい。
以上